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講座概要






八丈島民大学講座  


「今を、そしてこれからを自らの目で見きわめ、
よりよい明日を共に築いて行くために……」
島に暮らすだれもが気軽に参加できる生涯学習の場

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第89回八丈島民大学講座

終了しました

伝統食品くさやに秘められた可能性を探る

 
1日目

2026年21日(土) 午後730分~9

 
会場 八丈町商工会研修室(町役場内)

 八丈島の伝統文化が育んだ未来への道~
クサヤ液に棲む微生物の研究からわかってきたこと

東京農業大学応用生物科学部准教授  

        
鈴木敏弘 先生









21日は午後730分から八丈町役場庁舎内の商工会研修室で、東京農業大学応用生物科学部准教授の鈴木敏弘先生が「八丈島の伝統文化が育んだ未来への道~クサヤ液に棲む微生物の研究からわかってきたこと~」と題して講演しました。

塩が貴重な時代にムロアジやトビウオを長期保存するための工夫から生まれたクサヤは、強い香りと独特の風味で伊豆諸島を代表する伝統食品となりましたが、原料魚の不漁や食生活の変化とともに加工場の減少が進み、今や「消滅の危機」が心配されるようになりました。

鮒ずしなどの水産発酵食品が酸や塩分濃度で保存性を高めているのに対し、食塩約3%酸性度(PH)がほぼ中性の八丈島産クサヤは、クサヤ液に含まれる微生物-放線菌-の抗菌作用で保存性が高くなっていることが実験によって証明され、英文の学術誌に論文が掲載されました。クサヤ液で傷が治ったという経験には科学的な根拠があったのです。

抗生物質を作るのに欠かせない放線菌をクサヤ液から分離して培養し構造解析を進める過程で、多様な微生物の存在がクサヤの製法に関係することも明らかになりました。比較的高い塩分濃度(約8~9%)の液に入れた原料魚から滲み出た水分だけで液量を管理し、製造前に液をよくかき混ぜるという八丈島独特の製法が多種多様な微生物を作り出していたのです。

クサヤ液は抗生物質を生産する放線菌の宝庫で、食品や医療分野との懸け橋になる可能性がみえてきました。研究を通じてクサヤ製造の奥深さとクサヤ液の神秘に魅せられたと語る鈴木先生は、八丈島の人の温かさに触れ、「クサヤは人と人、人と歴史を繋ぐ発酵食品であり、研究の成果をもとにクサヤの認知度拡大と地域活性化に努めていければ…」と今後の方向を示し、講演を結びました。〈受講者47人〉


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2日目

22日(日) 午後1時30分~3

 会場 三根公民館ホール

 伝統文化由来の乳酸菌と新しい乳製品の開発











2日目は会場を三根公民館に移し、22日午後130分から行われました。前夜講演した鈴木敏弘先生に、東農大大学院の真崎祥子さん・大西美沙希さん、八丈島からチーズ職人の魚谷孝之さんとくさや製造に携わる長田隆弘さんが加わり、「伝統文化由来の乳酸菌と新しい乳製品の開発」をテーマにパネルディスカッションが行われました。

冒頭、20252月に、クサヤ液から分離した乳酸菌で作った「くさやヨーグルト」が独特の香りから解放された味わい豊かな飲み物として「にっぽんの宝物」の「進化と伝統部門」でグランプリを獲得、6月に大阪・関西万博で行われた世界大会で紹介された経過が映像で紹介されました。

続いて、東京農大で醸造学を専攻、大学院で発酵食品化学を研究している真崎さんと大西さんは、「クサヤの美味しさを科学的に証明したい」、「クサヤ液に棲む微生物から新しい抗生物質のもとになる放線菌を分離したい」という強い思いから長田さんと出会ってクサヤ液の提供を受け、それをもとに根気強く研究を進めた経過を語りました。

 クサヤとヨーグルトとの出会いは、チーズ作りに理想的な環境を求めて2013年に八丈島に移住した魚谷さんが報告しました。魚谷さんが島の暮らしで直面したのは毎年100人規模で進む急激な人口減少でした。八丈島産ジャージー牛乳を原料にチーズやヨーグルトを作っていた魚谷さんは、伝統文化と科学の融合に八丈島の持続可能性を見いだし、長田さんを通じてクサヤ液の微生物からの乳酸菌分離を東農大研究グループに依頼しました。

クサヤ液が取り持った共同研究は、「くさやヨーグルト」に結実しました。これが産業として成長するにはまず原料となるトビウオやムロアジの確保が課題ですが、今は網を使った漁法の技能伝承に補助される東京都の補助金で細々と漁が行われているのが現状です。また、ヨーグルトやチーズの製造に必要な量の乳酸菌の確保も課題です。八丈高校園芸科の関与など、他の分野と提携して発展する「水平展開」の可能性が期待されます。

クサヤを科学の目で見ることから得られた成果を他の分野に応用した「くさやヨーグルト」は、伝統産業が直面する「担い手不足」「原料不足」といった産業存続とその危機の背景に目を向け、課題克服への道筋を示唆する指標といえます。〈受講者49人〉






 

主催 八丈島文化協会  後援 八丈町教育委員会
問い合わせ  八丈島民大学講座運営委員会 事務局090-8036-1826





 毎日、悲惨な状況が報道されているイスラエル、パレスチナ問題。
 当講座では過去2回この問題を取り上げました。

 第42回 2002年1月 講師 法政大学名誉教授 高尾利数先生
 「イスラエルとパレスチナは和解できるか」
 講座資料(PDF) 年表(PDF)

 第74回 2018年3月 講師 千葉大学教授 酒井啓子先生
 「中東から見える世界と日本 中東問題とは何か」 
 講座資料(PDF

 

 



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